全般Eパワーソースの選び方 ”モーター編” - 全国 | DJI他ドローン専門卸販売「ポラリスエクスポート」

全般Eパワーソースの選び方 ”モーター編”

text/M.Kobayashi 小林稔

飛行機やヘリのパワーソースとしてポピュラーな存在となったブラシレスモーター。

今回は、モーターの選択方法について詳しく説明していきたいと思います。

最近は様々なカテゴリーにおいてブラシレスモーターが主流になっていますが、モーターの種類は沢山あります。

そこで、その中からどのサイズのモーターを自分の機体に適したものとして選べばいいのでしょうか。

エンジンの場合は、排気量やメーカーが指定するサイズ表記によって容易にエンジンの選択できます。

動力源である燃料の混合によっても出力は変わりますが、電動と比べるとそれほど出力に変化はありません。

電動の場合は、動力源であるLi-poバッテリーの電圧を変えれば、同じモーターでも全く別の出力を発揮することができます。

600クラスモーターのバッテリー電圧を8セルから12セルに変えるだけで700クラスモーターに変身させることもできます。

またエンジンに比べて種類も豊富なため、ユーザーにしてみると、どのモーターを選んだらよいのか悩んでしまいます。

機体メーカーが推奨しているモーターを選択すれば、何も考えることなく楽しいフライトができます。

ただ、せっかく趣味で始めたラジコンヘリコプターですから、人とは違うスペックで飛ばしたり、色々なことにチャレンジしてみたいですよね。

モーターの選択方法に関しては、他にもたくさんの方法があると思いますが、私なりの選択基準を読者の皆様にご提供させて頂きます。専門家の方からすると、正論ではない面もあるかもしれませんが、私の経験上の個人的な意見としてとらえていただければ幸いです。

  • モーターの選び方(~出力編~)

    まず、機体サイズ応じたモーターの選択には、モーターのメーカーが発表している出力(ワット数)が目安となります。

    メーカーによって表記方法や算出方法が異なりますが、メーカーのWEBサイトに公表されている表記をもとにご自分の機体にあったモーターを選択してみてください。

    今回は、スコーピオンとコントロニックのWebサイトに表記されている情報を参考にしてご説明させて頂きます。

    出力の算出方法

    A(電流値)× V(バッテリー電圧値) = W(出力)

    飛行中に必要な電流値とバッテリーの電圧値をかければ、機体に必要な出力ワットが算出されます。(バッテリー電圧値は、1セルあたり4.2Vで計算します。)

    • 例1)通常フライトの600クラスヘリコプター 65A × 33.6V=2184W
    • 例2)F3C/3Dフライトの600クラスヘリコプター 80A × 33.6V=2688W

    スコーピオンの場合、最大連続出力ワットを基準にしてください。3DやF3Cなど特殊なフライトをする場合は、最大出力ワット(Peal Power)も重要になります。

    出力の計算によって、算出された出力ワット数とメーカーが発表している出力ワット数を比較して、自分に合ったモーターをチョイスしてみてください。

    スコーピオンHKIII4025-730KV
    (6mmシャフト)


    HKIII_4025_730-6

    コントロニック PYRO600&650シリーズ


    Kontronik_Pyro-650_web_gr

    参考目安出力ワット数

    • 450クラス=700W 前後
    • 600クラス=2000W 前後
    • 700クラス=4000W 前後
    • 800クラス=4500W 前後

    コントロニックの場合も、スコーピオンのWEBサイト同様に最大連続出力ワットが公表されていますので、参考にしてください。(右の写真をクリックすると該当サイトへ移動します。)

  • モーターの選び方(~KV編~)

    モーターを選択する上で、もう一つ重要なのがKV値(rpm/V)の選択になります。

    KV値は、1ボルトあたりのモーターの回転数を意味します。KV値が低い場合は、回転数が低くなり、高い場合は回転数は高くなります。

    KV値を選ぶ上で、機体側のギア比(メインギア歯数÷ピニオンギア歯数)と、実際の飛行でメインローター回転数がどの程度必要かによってモーターの選択肢も変わってきます。

    メインローターの最高実用回転数を基準に、計算式でモーターのKV値を決めていきます。

    モーターのKV値の算出方法

    まずは、メインローター最高実用回転数から、負荷や抵抗を無視した理論上のメインローター最高回転数を算出します。

    ※メインローターのピッチ角やケーブルやコネクターによる抵抗等により理論上の100%の回転数を確保することは困難なため、最大効率は90%と考えます。

    1. RPM(メインローター最高実用回転数) ÷ 0.9(最大効率90%) = RPM(メインローター最高回転数)
    2. 次に、メインローターの回転数からモーターの最高回転数を算出します。
      RPM(メインローター最高回転数) x (ギア比) = RPM(モーター最高回転数)
    3. 最後に、モーター最高回転数から、バッテリー電圧をわってモーターKV値を算出します。
      RPM(モーター最高回転数) ÷ V(バッテリー電圧) = KV(モーターKV値)

    例)

    600クラス(8セル仕様)のヘリコプターで、最高実用メインローター回転数を約2450rpmと設定した場合(バッテリー電圧値は1セルあたり4.2Vで計算していますので8セルの場合33.6Vとします。)

    メインギア歯数90枚 ピニオンギア歯数10枚使用の場合

    • 2450RPM(メインローター最高実用回転数) ÷ 0.9(最大効率90%) = 2722RPM(メインローター最高回転数)
    • 2722RPM(メインローター最高回転数) x 9(ギア比)= 24498RPM(モーター最高回転数)
    • 24498RPM(モーター最高回転数)÷ 33.6V(バッテリー電圧)=729KV(モーターKV値)

    記の式からわかるように、ギア比の増減によっても必要なKV値のモーターは変わってきます。例えば、ピニオンギアを10枚から9枚にすると730KV前後から810KV前後のモーターを選ぶ必要があります。

    ここまで、モーターの選択には欠かせない出力ワット数とKV値の算出方法を記載してきました。この他にも、重量やサイズ、シャフト径などお手持ちの機体スペックに合うか忘れずにご確認してください。

    全ての条件が合えば、自分がこれだと思うモーターを購入して、より高度で楽しいフライトにチャレンジしてみましょう。